最近の仮想通貨業界は冷え込んでいますね。年始の暴落があったり、コインチェック問題があったり・・・。
しかし、今回もっと冷え込んでしまうような悪材料が浮上してきているんです。
なんと、あのUSDT(Tether社)がビットコインの価格操作をしていた！？
いう疑惑なんです。
これが本当だったら仮想通貨市場に前代未聞の衝撃を与えかねないと言われているんです。
しかし、
TetherとかUSDTってなに？全く意味がわからないんだけど。
という人も多いと思います。この問題について知らないままではやばいので、今回はこのUSDT（Tether）問題について初心者でもわかりやすいように簡単にまとめたいと思います。
目次
そもそも、TetherとかUSDTってなに？
まずは、TetherやUSDTについて説明しないといけないですね。
簡単にいうと、Tetherは会社名でUSDTは仮想通貨の名前です。Tether社が発行する仮想通貨がUSDTということです。
USDTの特徴は、何といってもドルの価値と連動しているということです。
仮想通貨は価格の上下が激しいですよね。ビットコインも一時期200万円まで高騰したのに、今は100万円ほどです。一気に半分ほどの価値になってしまいました。もちろんその逆もあって、一気に高騰して、昨日の価格の倍ぐらいになることもありますね。
しかし、USDTはそういう価格の動きはしないようになっています。
どういうことかというと、USDTはドルの価値とほぼ同じに設定されていて、1USDT＝1ドルという価値を保ったままになっています。なぜかというと、Tether社にあるドルの数と市場に出回っているUSDTの数がほぼ同じになるように設定されているためです。言い換えれば、USDTはドルの数を上回って発行されたりすることもないということです。常にTether社にあるドルの数とUSDTの数は同じ具合に設定されています。
こうした特徴から、USDTは企業間取引で使われる仮想通貨として期待されています。企業間でお金のやりとりをする際、法定通貨を使うと送金時間や手数料がかかってしまいますし、ブロックチェーンを使った仮想通貨でやりとりをすると送金スピードや手数料は抑えられるけど価格変動が激しいのでいくら払えばいいのかややこしくなってしまいます。そういう時にUSDTを使えば、送金スピードや手数料を抑えることができて安定した価値も相手に送ることができます。
ざっくり説明するとこんな感じです。
TetherやUSDTの詳細はこちらの記事もご覧ください。
Tether（テザー）社に向けられた2つの疑惑
さて、ここからが本題です。
今回Tether社に向けられてる疑惑は実は2つに分けることができるんです。この2つの疑惑はそれぞれ関係しあってくる問題になります。どういうことなのか詳しく見ていきましょう。
本当にTether社はUSD（米ドル）を持っているのか？
上記で説明した通り、Tether社は、自分の口座に担保されているドルの数と同じ分だけUSDTを発行できるとされていますが、本当はそんな大量のドルを持っていないんじゃないか？という疑惑があるんです。
実は、この疑惑は以前からありました。現在、USDTは20億個発行されていますが、Tether社の口座にも20億ドルが入っていないといけません。1USDT＝1USDの価値になるということはそういうことです。
しかし、20億ドルが口座に入っているという証拠は無いとされているんです。
また、ちゃんと口座には20億ドル入っていると証明する方法として存在していた監査法人のFeidmanとの契約も解消となってしまったようですし。一層疑惑が深まっています。
大量に発行されたUSDTを使って価格操作をした？
さらに、Tether社はグループ会社のBitfinexという香港の取引所と連携してビットコインの価格操作をしたんじゃないか？という疑惑も持たれています。
繰り返しになりますが、USDTはTether社にあるドルの数と同じだけ発行されるとされてきた仮想通貨です。しかし、上記のように「本当はドルを持っていないのにUSDTを発行している」ということが事実だったら、価格操作の疑惑も浮上してくるわけです。この価格操作疑惑に関しては匿名の分析レポートが先週発表され話題になりました。
簡単にいうと、Tether社がドルを持っていないのにがんがんUSDTを発行し、そのUSDTをBitfinexに送金後、BTCを大量購入した可能性があるということなんです。USDTを使ってBTCを買い支えたということですね。
去年はビットコインがバブル状態で大きく高騰しましたよね。レポートによると、こうした急激な高騰のうち大半が、BitfinexにUSDTが着金してから2時間以内に起こっているとのことなんです。
流れとしては、
USDT新規発行
↓
BitfinexにUSDT着金
↓
BTCが急激に高騰
ということですね。真相はわかりませんが、このレポートが本当だったら大変なことになります。しかも、こうしたBTCの急激な高騰の「大半が」ということなので、上記の一連の流れを繰り返していたのかもしれませんよね。
USDTの発行上限を超えている！？
こちらの画像をご覧ください。Tether（USDT）の総発行数と発行上限数を表したものですが、全体の供給量が発行上限を超えているのがわかると思います。
こうした点から、
「やっぱりUSDTをむやみやたらに発行してるんじゃ！？」
という疑惑が広がっています。
この辺私はよくわからないんですが・・・発行上限を超えて発行するのって・・・ありなんですかね！？
CFTCが動く事態に
ブルームバーグによると、米国商品先物取引委員会（CFTC）は12月6日にBitfinexとTether両社に召喚状を送った。 https://t.co/clsPH1NKPF
— ⛩ COIN JINJA (@coinjinja) 2018年1月30日
アメリカ商品先物取引委員会（CFTC）が、12月6日にTether社とBitfinexに対して召喚状を送ったとのことです。
召喚状とは、いわゆる「呼び出し状」のことで、裁判所が被告人や証人などを召喚する時に発する令状とされています。今回は裁判所ではなくCFTCという委員会が出していますが。
事情聴取みたいなことをするんでしょうか。または現在も調査中ということなんでしょうか・・。何れにしても、CFTCという機関が捜査のメスを入れたことは確実なようですね。
真相解明されるまでもう間もなくかもしれません。
Tether（テザー）疑惑が本当だったらどうなる？
上記でお伝えしてきた内容が仮に本当だとしたらどうなるでしょうか？
仮想通貨市場は大打撃を受ける
という意見が大半のようです。
それもそうだと思います。去年のビットコインの急激な高騰のほとんどが、不正に増産されたUSDTによる買い支えによるものだったらって考えると・・・。
ある試算によると、この疑惑が本当だったということが明るみになると、ビットコインの価格は80％も下がってしまうという意見もあります。1BTC＝20万円ほどになるということでしょうか・・・。
この試算の正確性は不明です。
意外に大丈夫なんじゃない？という意見も
一方で、Tether疑惑が本当だったということが明るみになっても意外に大丈夫なんじゃない？という意見もあります。
まずは、Tether（USDT）の時価総額がBTCの時価総額に比べるとそうでもないという部分です。BTCの時価総額は1700億ドルほどですが、USDTの場合は20億ドルほどです。BTCの1％ちょっとほどしかありません。
仮に全てのUSDTが崩壊したとしても、BTCの時価総額に与える影響は少ないんじゃない？という意見です。
時価総額だけ見たら確かにそうでもないかもしれないですけど・・・BTC不信や仮想通貨不信に陥ったら影響はもっと大きくなるんじゃないかな？と個人的には思います。
また、CFTCに監視されているのにUSDTを発行し続けられるか？という意見もあり、こうした点から「意外に大丈夫じゃない？」と見られている部分もあります。
上記で説明したように、現在Tether社とBitfinexはCFTCから召喚状を送られて監視下にある状態と言えます。
そんな中でも実はTether社はUSDTを発行し続けているんです。
CFTCから召喚状が送られたのが去年の12月ですが、今年に入ってもUSDTを増産しています。CFTC監視下でもUSDTを増産できるっていうことは、Tether社は本当にUSDT分のドルを持っているんじゃないか？疑惑は晴れるんじゃないか？
という期待する意見もあります。
まとめ
この件に関しては、正直まだどうなるかわかりません。
疑惑は疑惑なので、結局Tether社は何も不正を行っていなかったっていうこともあります。ですが、万が一に備えるのも大切だと思います。
私は今持っている仮想通貨を売って暴落時に備えるということはしないでおきますが、そういう判断は個人個人で考えてやっていかないといけないですね。
